2020年2月24日、東京カルチャーカルチャーで開催された「国語辞典ナイト12~辞書はゲームだ!」レポートの後編です。
あれよあれよという間に、イベントから1カ月以上が経ってしまいました……
…が!!
新型コロナウイルス感染対策のための「外出自粛」が強く求められる今だからこそ、皆さんに辞書で遊んでほしい!という思いをこめて、後半に紹介された辞書ゲームのプレイ体験会の様子をレポートしようと思います。
1. 「国語辞典ナイト」で開発された辞書ゲームたち!
「国語辞典ナイト」で開発されてきた辞書ゲームとして紹介されたのは、下記の10個のゲーム。
このうち、「⑨子ども辞書たほいや」と「⑩添削たほいや」は、「⑧たほいや」の亜種(?)ですので、8種類10個のゲームというのが正しいかもしれません。
まず、みんなでプレイしたのは「ズッキーニ」! 辞書の語釈を出題し、その語釈がなんの言葉の語釈なのかを当てるゲームです。 とてもシンプルなゲームなんですが、案外難しい…今回の辞書ナイトでは、次のような出題がありました。 Q1「他のすべてを犠牲にしても、そういう状態になってみたいと一途に思いつめる」(『新明解』) Q2「(行為を無にされたり心を傷つけられたりして)やっつけてやりたいほど不快だ。(『岩波国語時点』) Q3 「広いところに何もないこと。中にだれもいないこと。またそのさま」(『大辞林』) 答えは、それぞれ「こがれる」(Q1)、「にくい」(Q2)、「がらんどう」(Q3)なのですが、皆さま、おわかりになったでしょうか? 辞書を遊ぶという視点から考えると、何の辞書からの出題なのかも示しておくところがポイントになりますね! お次は、「逆からブランチ」! 「逆からブランチ」の「ブランチ」とは、辞書の複数の語釈を書きわけていくこと。辞書には、ひとつの言葉に対して複数の語釈があてられることがありますが、そのような複数の語釈を用いたゲームです。 まず、①出題者が辞書から語を一つとりあげ、、語釈をブランチ末尾から順に読み上げていきます。②回答者は、わかった辞典で手を上げ、回答用紙に自分が思いついた答を書きあげ…③早く正解した人が勝ち!というゲームです。 「ルール」として、ブランチ内のの語釈は本文だけを読むこととし、用例やカッコ書きは読まない。また明らかに答えがわかる言い換え例なども出題者の判断で読まなくて良いということとされています。 Q 『三省堂国語辞典第七版』より ④[古風]余地 ③寄席。 ②会・式などのある場所。 ①座る場所。 皆さん、答えはわかりますか?答は「席」です! その後、飯間先生presentsによる「年号でドン!」も体験。 「年号ドン!」は、『精選版日本国語大辞典』をもとに、親が指示した年に近い年の用例を最古例とすることばを探し出すゲームで、複数の競技者のうち、親が指示した年にもっとも近い最古例をもつことばを探し当てた人が勝ち!というゲーム。 この日は、「905年」「1681年」「1930年」が出題されたのですが、出題時に「平安時代前期」「最古の和歌集である「古今和歌集」が発行された年」(905年)とか、「昭和5年という微妙な時期。明治や大正のようなはっきりしたカラーもなく、戦争もまだ始まっていない」「ロンドン条項が締結され平和ムード。一方、昭和恐慌が起こる。」といったような、その時代について想像するためのヒントがあることで、言葉に対する想像力がグッと広がり、面白くなっているように思いました。 次に行った、「現国例で、比べとくれ~!」は、『現代国語例解辞典』の中に数多掲載されている「類語対比表」を使ったクイズ。 「類語対比表」とは、似た意味のことばを例文に入れてくらべることで、使い分けを示すための表なのですが、その表に示される「使い分け」基準を見ながら、その語がいったい何なのかを当てる(!)というかなりレベルの高いゲームでした。 最後には、ピグフォンによる新作ゲーム「ドーオンとイギーゴ物語」が紹介されました。 「ドーオンとイギーゴ物語」は、同音異義語をテーマにしたゲーム。 『三省堂国語辞典第七版』の語釈を使い、辞書を使いながら、同音意義語を当てていくというゲーム。 「ドーオンとイギーゴ物語」は、クイズのみで構成される第1章と、物語化された文章の中から同音異義語を見つけていく第2章「ドーオンとイギーゴ物語」がありますが、特に、第2章では、物語全体のどこの部分に同音異義語が隠れているのかを探していくのが面白い。 ゲームとしては、まず、物語を読んだあとそのタイトル「〇〇物語」の「〇〇」にあたるひらがなを考え、その後、物語中に出てきた同音異義語を漢字でできるだけ多く書く!という流れ。 「対戦ルール」と「協調ルール」があるのですが、今回行われたのは「対戦ルール」。制限時間内に、題名とより多くの同音異義語をパネルに書き込み正解の数を競いました。 今回は、残念ながら辞書が手元になかったので、語彙力(?)の勝負になってしまいましたが、辞書が手元にあったら、同音異義語を切り口に、自分が知らないいろいろな言葉と出会うきっかけになるのでは…!と思いました。 こう数えてみると、なんと辞書をつかったゲームを、5つもプレイ体験していたのだ!ということに気づきます。 「図書館たほいや」普及委員会でも、「図書館たほいや」とつなげるかたちで、このような辞書ゲームを参加者の皆さんに、紹介していけたらいいなぁ、と思いました。
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